水平対向エンジンはポルシェのこだわり


ポルシェが採用する水平対向エンジン。
ポルシェ911のエンジンとして1964年にデビューしたフラットシックス=水平対向6気筒エンジンは、理詰めで生まみだされたのである。
どんなメリットがあり、デメリットがあるのか。そして、ポルシェは水平対向エンジンにこだわりがあるのだろうか。

水平対向エンジンとは

水平対向エンジンとはその名の通り、クランクシャフトを中心にして、ピストンを左右、水平に配置したレイアウトが特徴。
直列4気筒よりも全長と全高を低く抑えることができるのは安定性において有利だ。
ボクサーがパンチを打ち合う姿に似ていることから、ボクサーエンジンとも呼ばれている。

水平対向エンジンのメリット

水平対向エンジンのメリットは以下のようなものがある。

低振動

左右対称のピストンが、互いの慣性力打ち消すように対象で往復運動するため、エンジンの振動が抑えられる。

低重心

直列やV型などの他のエンジンは上下方向に長いことに対して、水平対向エンジンはシリンダーがフラットなため、全高が低くなり低重心化しやすく、高い走行安定性をもたらす。

高出力

エンジンの横幅には制約があり、ショートストロークにならざるを得ないが、このショートストロークと本来持つバランスの良さが高回転化と高出力につながっている。

水平対向エンジンのデメリット

メリットの多い水平対向エンジンだが、採用しているのはポルシェとスバルと少ない。それはデメリットにある。

燃費が悪い

水平対向エンジンは高回転域の燃焼効率はいいが、低回転域の燃焼効率が良くない。つまり、運転速度が遅いと燃費が悪くなるわけだ。
日本のように信号待ちや渋滞の多いところだとエンジンは低回転になりやすく、燃費が悪化する。

エンジンの横幅

高性能、高出力化に伴い、エンジン排気量は増加傾向にあった場合、気筒数が変わらなければ、ピストンストロークの延長やボアの拡大が必要になる。
もともと横幅のあるエンジンなので、ストロークを延長するとエンジンルームに収まらなくなってしまう。
ポルシェ911が長らくリアにトーションビームを用いたのはこのこともあるのだろう。

ポルシェが水平対向エンジンを採用し続ける理由

ポルシェが水平対向エンジンにこだわるのは、他のエンジンにはない個性と独特のパワーフィールがあり、これがアイデンティティになっているからだ。
気がつけば水平対向エンジンを採用する自動車メーカーはポルシェとスバルくらいになってしまった。
今後はEVやHVが主流となっていくのは間違いないが、これからも希少技術として異彩を放ってほしいと思う。